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障害のある成人した子の「親亡き後」に備える 各分野の困りごとと頼れる相談先

Tags: 親亡き後, 障害, 相談, 福祉, 成年後見, 財産管理, 住居, ケア, 相談支援事業所

はじめに:親亡き後の生活、様々な困りごとにどう備えるか

お子様が成人され、親御様がその生活を支える中で、多くの方が「自分がいなくなった後、この子の生活はどうなるのだろうか」という不安を抱かれるかと思います。障害のある方の親亡き後の生活については、住居やケア、財産管理など、様々な側面にわたる検討が必要です。

特に、親御様が担っていた役割の一部またはすべてを引き継ぐ人がいない場合や、予期せぬ出来事によって状況が変化した場合に、どのような困りごとが発生しうるのか、そしてその際にどこに相談すれば良いのかを知っておくことは、将来の安心につながります。

この記事では、親亡き後に障害のある方が直面する可能性のある具体的な困りごとをいくつかの分野に分けて整理し、それぞれの状況に応じた相談先や、事前の準備について解説します。

親亡き後に想定される主な困りごと

親御様が亡くなられた後、障害のある方が直面する可能性のある困りごとは多岐にわたります。主なものを分野別に見てみましょう。

1. 住居に関すること

2. お金・財産管理に関すること

3. 健康・医療に関すること

4. 日々の生活・ケアに関すること

5. 権利・手続きに関すること

困りごと別の具体的な相談先

親亡き後に発生する可能性のあるこれらの困りごとに対して、一人で抱え込まずに相談できる様々な機関や専門職が存在します。

1. 全般的な相談・コーディネート

複数の困りごとが複合している場合や、まずどこに相談すれば良いか分からない場合は、以下の機関が最初の窓口として適しています。

2. 分野別の具体的な相談先

特定の困りごとについては、専門的な機関に相談することが効果的です。

事前の準備としてできること

親亡き後に困りごとが発生した際に慌てないためにも、親御様が元気なうちから準備を進めておくことが非常に重要です。

  1. 信頼できる相談支援事業所を見つける: 将来にわたる継続的な相談相手として、本人や親御様の意向を尊重し、信頼できる相談支援専門員がいる事業所を見つけておくことが大切です。定期的に面談を行い、本人の状態や将来への希望を共有しておきましょう。
  2. 個別支援計画を親亡き後を見据えた内容にする: 現在利用している、または将来利用を検討するであろう障害福祉サービスの計画を、親亡き後の生活も見据えた内容で作成・見直しを行います。生活全体を支える計画として、住居、日中活動、健康管理、余暇活動など、様々な側面を盛り込みます。
  3. 財産管理や成年後見制度について検討し、専門家に相談する: お金の管理が難しい場合、どのような方法で財産を守り、生活費を管理していくか具体的に検討します。成年後見制度の利用が必要か、任意後見契約を検討するかなど、早い段階で弁護士や司法書士、社会福祉協議会などの専門機関に相談してみましょう。
  4. 関係機関とのネットワークを築く: 相談支援事業所だけでなく、日中活動系の事業所、グループホーム、医療機関、かかりつけの専門職など、本人の生活に関わる様々な機関との連携体制を親御様が中心となって築いておくことも有効です。
  5. 緊急時の連絡先リストや情報共有の仕組みを作る: 親御様に何かあった際に、誰に連絡すれば良いか、本人の健康状態や薬、支援に関する重要な情報がどこにあるかなどを整理し、関係者(親族、相談支援専門員、支援事業所など)が共有できる仕組みを作っておくことが大切です。

まとめ:一人で抱え込まず、多様なサポートを活用しましょう

障害のある方の親亡き後の生活には、住居、お金、健康、日々のケアなど、様々な場面で困りごとが発生する可能性があります。しかし、大切なのは、これらの課題に対して一人で向き合わなければならないわけではない、ということです。

障害福祉サービスを提供する事業所、市区町村の福祉窓口、成年後見制度に関する専門家、医療機関など、多様な相談先が存在します。特に相談支援事業所は、様々な困りごとを整理し、必要なサービスや他の専門機関につなぐコーディネーターとしての役割を担います。

将来への不安を抱え込まず、まずは身近な相談支援事業所や市区町村の窓口に相談してみることから始めてみましょう。そして、親御様が元気なうちから計画的に準備を進め、関係機関との連携体制を築いておくことが、将来の安心につながる最も確実な方法です。多様なサポートを上手に活用しながら、お子様が親亡き後も安心して自分らしい生活を送れるよう、共に道を考えていきましょう。